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菫「バタフライエフェクト?」

(※映画『バタフライ・エフェクト』のパロディです)
菫「バタフライエフェクト?」

照「うん。カオス理論の概念で、「北京で蝶々が羽ばたくとニューヨークで台風が生まれる」という意味」
菫「どういうことだ?」
照「どんな些細な変化でも、それが与える影響はどんどん大きくなる。だから、未来を予測することは誰にもできない、ということ」
菫「教養科目か?」
照「うん。私は文学部なんだから、数学の授業なんて受けない」

 第71回インターハイから1年後。白糸台は団体戦では優勝を逃したものの、照はもとより菫も個人戦で活躍し、二人は都内の私立大学に麻雀の特待生で入学していた。
 季節は夏を迎えようとしており、暑さが、菫に去年のことを思い出させた。

 1年前、団体戦の決勝戦が終了し、新聞社の撮影が終わったあと、他校の生徒たちは自然に会話を交わしていた。菫が声をかけたのは、準決勝、決勝で苦戦をさせられた松実宥だった。

菫「松実さん。優勝おめでとう」
宥「あ… 弘世さん」
菫「君の打牌は素晴らしかった。しかし、私も人のことは言えないが個性的な打ち筋だな。松実さんは誰かに…」
宥「宥」
菫「え?」
宥「宥でいいです。松実だと玄ちゃん… 妹と紛らわしいから」

 その日の夜は阿知賀の祝勝会を兼ね、レストランで決勝進出校の慰労会が行われることになった。移動中、菫と宥は話しつづけていた。初対面だったが、試合の直後であり、話題は尽きることがなかった。

 レストランは貸切だった。挨拶と乾杯のあと、選手たちは自由に会話をしていた。

菫「照… ありがとう」
照「え?」
菫「お前のおかげでここまでこれた。悔いのない高校生活になった。ありがとう」
照「私だって、菫がいたから麻雀を続けられた」
菫「初耳だぞ」
照「本当。麻雀部の活動が楽しかったのは菫のおかげ」
 フラッシュが閃いた。
淡「みんな来てー! 菫が照に告白してる!」
菫「おい。大事な話をしてたんだよ! まったく…」

 気が削がれて周りをみると、宥が店を出ようとしているのに気づいた。菫も追いかけて店を出た。

菫「どうかしたのか?」
宥「あ、弘世さん。すこし冷房がキツくて…」
菫「宥さん。ありがとう」
宥「え? なんのことですか?」
菫「君のおかげで、高校最後の公式試合が充実したものになった。最高の思い出だ。私は一生、君を忘れないと思う」
宥「なにを言って… キャッ」
 スピードの出た自動車に宥が驚いてよろけ、菫が受けとめた。
宥「す、すみません…」
菫「いや、気にしなくていい」ドキドキ
菫「…戻ろうか」

 冷房のあたらない場所を探し、並んで座った。
淡「菫。さっきのお詫び。はい。飲み物」
 菫は一口で飲み干した。
菫「気が利くな。…ってアルコールじゃないか!」

 淡を捕まえようとして立ち上がったとき、目眩をおぼえた。次に気がついたとき、菫は並べられた椅子の上に寝ていた。

宥「あの… 弘世さん?」
 菫は宥に膝枕されていた。
菫「うわああ」
淡「菫、酔っぱらって大変だったんだよ? 宥、好きだー! 愛してるー! とか叫んだりして」
菫「何をバカなことを言ってるんだ! 宥さん、迷惑をかけてすまなかった」
宥「いいえ。迷惑だなんて… すこし嬉しかったし」
菫「え?」

 しばらくして、菫と照は××大学の麻雀部に在籍する白糸台のOGから特待生として勧誘された。面談や手続きが終わり、8月の下旬には暇ができた。菫はその時間を使い、奈良に行った。

菫「それで、私は××大学に麻雀の特待生で入学させてもらえることになったんだ」
宥「そう…」
 宥とは喫茶店で待ち合わせた。
菫「宥はどうするんだ? 進学か?」
宥「ううん。私は松実館… 旅館を継ぐことが決まっているから。卒業したら、そのまま実家に就職するよ」
菫「そうか…」
 互いの近況報告を済ませると、話題もなく、会話は途切れがちになった。菫は気まずくなり、タイミングをみつけて席を立った。
 その後も菫と宥は電話で連絡をとりつづけた。会話は表面的なものが多く、菫には宥のことが気になっていた。

 10月になると、白糸台で引退式が行われた。そこで、菫は照に相談した。
菫「なあ照。お前の家からも大学は遠いだろ? 2人で下宿して、ルームシェアしないか?」
照「菫、いやらしい」
菫「な、なに言ってるんだ!」
照「冗談」
菫「そうか… そうだよな」

 菫は形式的にセンター試験を受けることにした。証明写真を撮影して願書を送付したあとに、本屋で関西の大学を調べている自分に気づき、苦笑した。

 そして菫と照は××大学に進学し、ルームシェアしている。

ヴヴヴヴ
菫「電話だ」
照「じゃあ、先に帰ってる」
 分かった、と言って菫はケータイをとった。
菫「もしもし」
玄「もしもし。菫さんですか。松実玄です」
菫「ああ。玄さんか。久しぶりだな」
玄「姉が死にました」
菫「…え?」
玄「昨日、亡くなりました。つきましては明日、通夜をとりおこないますのでご出席いただけますか?」
 菫は呆然としていた。ただ、現実感のないなかで、通夜の会場と時間をメモしていた。

 翌日、菫は奈良にいた。焼香がおわり、参列者が帰りだす。菫が出口に向かうと、玄が待っていた。
菫「玄さん。この度はご愁傷様でした」
玄「いいえ。お気遣いなく」
菫「話しづらいことだと思うがが、亡くなられた原因は…」
玄「自殺です」
菫「え?」
玄「菫さんに渡したいものがあります。おそらく、遺書だと思います」

 それは、「菫ちゃんへ」と宛名書きされた封筒だった。
 帰りの電車のなか、震える手で、菫は開封した。

『菫ちゃんがこの手紙を読んでいるということは、私は死んでいるのだと思います。断っておきますが、私が死んだことに特定の原因はありません。
ただ、私は松実館を継ぐことを義務づけられていました。その理由も理解していますし、そのことに不満はありませんでした。でも、息苦しさを感じていたのも事実です。
菫ちゃんがこちらに遊びにきて、東京の大学に進学するという話をきいたとき、菫ちゃんのことが眩しくみえました。たぶん、私はこの土地で一生を終えるから。そんな気持ちは、日が経つにつれてどんどん募っていきました。あえて私が死ぬ理由をいうならそれです。
もしかしたら私は、あの日、菫ちゃんにここから連れ出してほしかったのかもしれません。恨み言になってしまってごめんなさい。』

 手紙を読んだあと、菫は放心していた。自分が宥を追い詰めた? なぜ宥はこんな手紙を遺した?
 疑問と混乱、相反する感情のあとに残ったのは、喪失感だった。

 宥が死んだ… 時間が経つと、次第にそのことが現実味を帯びはじめた。
 帰宅すると、照が何かと気遣ってくれたが、それも遠くに感じられた。

 菫は写真をとりだした。インターハイのあとの慰労会で、宥とともに淡に撮影されたもの。
 会いたい。会って言葉を交わしたい。写真をみながら激情に駆られると、菫は意識を失った。

宥「弘世さん?」
 目の前に宥がいた。
菫「宥… 生きてたのか」
 菫は宥を抱きしめた。
菫「宥。本当に心配した。君がいなくなって、はじめて君の存在がどれほど大きかったか気づいた。心細かった。好きだ。君を愛してる」
宥「ちょ、ちょっと弘世さん!?」
菫「もう決して離さない。君を不安にさせたりしない」
淡「菫ったら酔いすぎ!」

 淡の声で我に返った。そこはレストランだった。他校の生徒もいる。菫は既視感をおぼえた。
菫「ここは…?」
淡「インターハイのあとで、4校合同で慰労会をしてくれることになったんでしょ? 私がお酒を飲ませたから菫がおかしくなっちゃったー!」
 淡の言葉どおり菫は酩酊感をおぼえ、その場に突っ伏した。

 気づくと、菫は自分の部屋にいた。
照「気づいた?」
 照とともにルームシェアをしている、学生向けのマンションの一室だ。
菫「夢をみていた」
 そう言ってから、夢とは思えない現実感だったことに気づく。記憶が細部までしっかりとしていて、内容の整合性もとれている。
菫「照。おかしなことをきくようだが、インターハイ後の慰労会で、私は酔ったときになんと言っていた?」
照「それは… 宥さんに、君を愛してるだとか、もう離さないだとか」

 いまの出来事は現実なのか…? 菫はふたたび、過去に戻ろうとした。だが、そういった兆候は現れなかった。

菫「そうだ… 写真だ」
照「え?」
菫「写真を出してくれ!」
 そう言ってから、菫は、本当に過去に戻れるのならと考えた。
 そして、去年、奈良に旅行にいったときの写真をとりだした。

 菫は1年前の奈良にいた。宥と待ち合わせをする1時間前だ。やるべきことは整理してあった。菫はまず、ある番号へ電話をした。

菫「××大学は麻雀で特待生を受け入れている。私のところにもその話がきた」
宥「そう…」
菫「断った」
宥「え?」
菫「宥、私といっしょに東京にきてくれないか?」
宥「どういう意味?」
菫「××大学に、私の代わりに宥を特待生として受け入れてくれるように頼んだんだ。もう話はついている。だから、宥には東京にきて面談をしてほしい」
 白糸台のOGはすでに説得していた。菫が、来年のインターカレッジの戦況について詳しく知っていることが役立った。
宥「そんな。話が急すぎるよ…」
菫「すまない。だが、私は特待の話はもう断ってしまった。あとは君だけだ」
 宥が表情を沈ませた。強引だが、罪悪感に訴えてでも、宥を説得するしかない。
宥「ねえ、菫ちゃん。話は嬉しいけど、どうして私にそこまでしてくれるの…?」
菫「私は、君のことが好きなんだ」

 菫は現在に戻っていた。照とルームシェアしている、学生寮の1室だ。
宥「菫ちゃん?」
菫「うわああ」
宥「どうしたの、菫ちゃん。はやくいかないと遅刻するよ」
 菫は強い頭痛を感じた。そして、記憶が脳内に再現されていった。1年前に奈良に行ったあと、宥は菫とともに東京に行き、××大学の特待枠をとった。そして、菫も一般受験で××大学に入学し、宥と学生寮でルームシェアをはじめたのだった。
 玄関から呼び鈴が鳴った。
宥「ほら、照さんも呼んでるよ」

 菫と宥、照は、隣室どうしで同じ麻雀部に所属していることもあり、3人で親しくしていた。
宥「今日は大通りの甘味屋にいきませんか? このあいだ、菫ちゃんと見つけたんです」
 そう言うと、宥は菫の腕に抱きついた。
照「…あまり人前でベタベタしないほうがいい」
 そう言いつつ、照も菫の反対側の腕に抱きついた。

店員「いらっしゃいませ。ご注文は」
宥「あ、私はお汁粉が…」
照「かき氷3つでお願いします」
店員「かしこまりました。少々お待ちください」
宥「あの、私は冷たいものは…」
照「知ってる」
菫「おい照。なにを怒ってるんだ?」
照「知らない」

 3人でひとしきり遊んだあと、照は大学に用事があるらしく、2人で先に帰ることになった。
宥「楽しかったね。菫ちゃん」
菫「そうだな」
宥「でも、今度は2人で遊びにいきたいな」

 菫は、学生寮の前に人が立っていることに気付いた。

菫「玄さん?」
玄「久しぶり。菫さん。お姉ちゃん」
 半年ぶりにみる玄は異様だった。目が充血していて、不潔っぽくみえた。

 玄を家にあげると、菫は尋ねた。
菫「どうしたんだ? 急に」
玄「お姉ちゃん。…実家に帰ってきてくれないかな」
宥「え? でも、私にも大学があるし…」
玄「大学を辞めて帰ってきて」
宥「どうして?」
玄「どうしてもこうしてもないよ! お姉ちゃんが出ていってから、仕事は回らないし、お父さんは愚痴っぽくなるし! 私だけ苦労して… どうしてお姉ちゃんだけ楽しそうに遊んでいられるの!」

 菫たちは話をきこうとした。だが、菫たちが落ち着かせようとすると逆に玄は激昂し、ついに怒鳴るようになった。

玄「いいよ! お姉ちゃんが帰ってきてくれないなら死んでやる!」
 玄はベランダに走り、手すりをのりこえた。
菫「やめろ! 危ないぞ!」
玄「こないで!」
 玄の足は震えていて、本気で飛び降りるつもりがあるとは思えなかったが、興奮しているためいつ落ちてもおかしくなかった。
宥「やめて、玄ちゃん!」
玄「だからこないでって言ってるでしょ! …あっ」
 怒鳴った瞬間、玄は足を踏み外していた。手すりを掴もうとしたが、落下する速度はそれをこえていた。一瞬のあと、鈍い音が響いた。

菫「うわああ」

 菫の頭に去来したのは、どうしてこうなったのか、という思いだった。気付くと、自失した宥の横を通り、机の引出しを開けていた。
 取り出したのはセンター試験の出願に使った証明写真だった。

 菫は、半年前の冬にいた。高校の制服を着ている。菫は書店に走り、関西の大学の資料を買おうとした。そして、このくらいでは未来は変わらないことに気付いた。

 現在に戻った菫は、未来の変わる決定的な結節点を考えた。そして、取り出したのは白糸台の引退式の写真だった。

 菫は、1年前の白糸台の引退式の会場にいた。隣には照が立っている。このときのことはよく覚えていた。このとき、菫は照にルームシェアの誘いをしたのだった。菫が、その話を切りだそうとしているときだった。
菫「なあ、照」
照「なに?」
菫「私、特待の話は断るよ」
照「なんで… どうして」
菫「奈良の大学を受験しようと思うんだ」
照「どうして!」
菫「こんな理由を言うと笑われるかもしれないが… 私は、宥のことが好きなんだ」

 次の瞬間、菫は現在に戻っていた。だが、周囲の風景が違う。菫は和室の布団に寝ていた。

玄「菫さーん。起きてください」
菫「玄さん!?」
玄「お姉ちゃん、先に朝ご飯を食べてますよ」
 菫はふたたび頭痛を感じた。記憶が再現されていく。菫は、奈良の国立大学を受験したのだった。宥の好意で、松実館に下宿させてもらっている。宥は、松実館で働いていた。玄は、菫の影響で進学に進路を変更した。このごろは、もっぱら午後は菫が勉強を教えている。

宥「おはよう。菫ちゃん」
菫「ああ… おはよう」
宥「今日はお休みをもらったの。だから大学が終わったら… いっしょに遊びにいかない?」
玄「ずるい! 午後は私が勉強をみてもらう約束なのに」
宥「玄ちゃんはいつも菫ちゃんといっしょでしょ? たまにはお姉ちゃんに譲りなさい」
玄「でもー」
菫「それじゃあ、午後は宥と遊びにいこう。夜、帰ったら玄の勉強をみるよ。それまでは自習してるんだぞ」

 ふと、菫は照がどうしているか気になった。照に関する記憶だけが判然としない。自室に戻り、照のケータイに電話をする。だが、電話会社から電話番号が使用されていないというメッセージが送信された。電話番号を変えたのかと思ったが、照の実家も同様だった。
 菫は不安になった。淡に電話する。繋がった。

淡「弘世先輩ですか?」
菫「ああ。照がいまどうしているか、知っているか?」
 電話ごしに、淡は沈黙した。
淡「ふざけてるんですか? 照は… 照は… 死んだじゃない!」

 その瞬間、照に関する記憶が蘇った。照の自殺。葬儀。そして、照の母親から渡された日記。

 菫は机の引出しを開けた。そこには、照の生前の日記が収められていた。

『新人戦があった。上級生をふくめ、私の全勝だった。』『部内で話す相手がいない』『顧問も私に話しかけなくなった。先日の試合で私が勝ってからのことだ。』『菫に会って話したい。だが、このような幼稚な理由で相談したら、菫を失望させるだろう。』『寂しい。』『菫に会いたい。』

菫「うわああ」

 菫はアルバムをとりだした。目についたのは、インターハイ後の慰労会で、照とともに淡に撮影された1枚だった。

 菫は、慰労会の会場にいた。
淡「みんな来てー! 菫が照に告白してる!」
 菫は照の両肩を掴んだ。
菫「照!」
照「ど、どうしたの。菫…」
菫「照。お前は私の一番の友達だ。どんなに離れていてもそれは変わらない。だから、少しでも私が必要になったら、かならず私を呼んでくれ!」
照「なんの話…?」
菫「きいてくれ!」

 大声を出したからか、レストランにいる生徒の全員に注目されていた。店外に出ようとしていた宥も、驚いた様子でこちらをみている。
 次の瞬間、菫を衝撃が襲った。

 菫は、殺風景な1室にいた。簡素なベッドに横たえられている。だが、体が動かない。

菫「誰か! 誰かきてくれ!」
 看護師らしい人物が、部屋の扉を開ける。
看護師A「弘世さん。どうかしましたか?」
菫「今はいったい、いつなんだ! ここはどこだ! どうして私の体は動かないんだ!」

看護師B「また?」
看護師A「そうなの。また記憶の混濁がおこったみたい」
 看護師は枕元にあった古い新聞をかざした。
看護師A「みてください。これは去年の新聞です。この事故で、あなたは大怪我を負って全身不随になったんですよ」

『自動車がレストランに衝突 高校生3名が死傷』
『東京都××で、スピード違反の自動車がレストランに衝突し、高校生3名が死傷した。亡くなったのは、白糸台高校3年生の宮永照さん(17)、阿知賀女学院3年生の松実宥さん(17)。また白糸台高校の3年生(17)が意識不明の重体。…』

菫「写真! 私の写真はどこだ!」
看護師A「いつも言ってますが、私物の持ち込みは許可されていません。写真もです」

 看護師たちは部屋を出ていった。菫は考えていた。現状についてではなかった。私は、過去に飛ぶたびに、自分の都合で誰かの人生を変えている。そんなことは許されるのだろうか。

菫「……」

 菫は、首の動きだけで枕元の新聞をとりあげた。そして、口で新聞の文化面を開く。そこには、大会後に撮影された各校の集合写真が掲載されていた。

 菫は、団体戦の決勝戦が終了した直後の、インターハイの会場にいた。他校の生徒たちが、興奮した様子で会話を交わしている。
 辺りを見回し、菫は目的の人物を見つけた。同じ高校のチームメイトとともに、楽しそうに談笑している。

菫「松実さん」
宥「あ… 白糸台の弘世さん」
菫「よく笑っていられるな?」
宥「え?」
菫「よく、敗退校を前にして笑っていられるなと言ったんだ。優勝して嬉しいのは分かるが、すこし配慮に欠けるんじゃないか?」
憧「ちょっと! そんな言い方…」
菫「私の前にその顔をみせるな」
 そう言って、菫は背を向けた。

 気づくと、菫は元の、学生寮の1室にいた。ケータイの時刻表示をみる。現在の日時だった。
 照が電話をしている。通話を終えると、菫は声をかけた。

菫「何の話だったんだ?」
照「うん。去年の決勝進出校で、同窓会を開かないかって、阿知賀の松実さんが。菫もくる?」
 菫は少考した。答えは決まっていた。
菫「いや… いいよ。去年、ひどいことを言ってしまったんだ。会わせる顔がない」
照「そう。じゃあ、断りの電話をするね」
菫「ああ」

菫「それと、写真を燃やそうと思うんだ。つきあってくれるか?」
照「いいけど… どうして?」
菫「過去も未来も、人の自由にはならない。だから、いまどうするかが大事なんだ。そう思ったんだ」


菫「バタフライエフェクト?」カン


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